大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和56年(行ケ)208号 判決

右事実によれば、引用例一記載のものにおいては、移動中のパレツトが非常停止した後、その原因が解消しても、パレツトの停止位置によつては所望の空地を選択できない場合があるので、結局、各パレツトの現在位置に関係なく所望の空地(通路)を選択することはできない。したがつて、前記審決の理由の要点のうち、引用例一記載のものは、「パレツトの現在位置に関係なく所望通路を選択するための通路選択回路」を備えているとした認定は誤りであるといわなければならない。

(三) 本願発明と引用例一記載のものとの対比

以上認定したところに基づき、本願発明と引用例一記載のものとを対比すると、収納装置或いはパレツトの配置態様に関して、両者は、いずれも、通常の選択操作により形成される一つの通路のみでなく、なんらかの原因により形成される複数の通路を含むような収納装置或いはパレツトの配置態様をとることができる電動式移動保管装置である点で、差異は認められない。

しかしながら、所望の通路或いは空地を形成するための通路或いは空地の選択態様に関して、本願発明は各収納装置の現在位置に関係なく所望の通路を選択しうるような通路選択回路を備えたものであるのに対し、引用例一記載のものは各パレツトに現在位置に関係なく所望の空地を選択しうるような空地選択回路を備えたものでない点で、両者間に相違があることは明らかである。

しかるに、前記審決理由の要点によれば、審決は右相違点を看過し、この点についての判断をすることなく本願発明の進歩性を否定したものであり、その看過が審決の結論に影響を及ぼすべきものであることは明らかであるから、その余の事項について判断するまでもなく、審決を違法としてその取消を求める原告の本訴請求は理由があるとしなければならない。

三 よつて、審決の取消を求める原告の本訴請求を正当として認容することとする。

〔編註その一〕 本願発明の要旨は左のとおりである。

a収納面に対して直交する方向に移動可能な複数の収納装置を物品出納用の作業通路として少なくとも一つの空間を残して互いに密集した状態に配置し、物品出納時には少なくとも一つの前記収納装置を移動させて物品を出納すべき前記収納装置の収納面側に前記作業通路を形成するようにした電動式保管装置において、b各前記収納装置を移行させるため前記各収納装置に取り付けられた可逆モータと、c前記各収納装置のそれぞれの移行を規制するため各収納装置の移行余裕がなくなつた時作動するよう前記各収納装置に取り付けられた移行規制装置と、d前記各通路に対応するそれぞれ一つの通路選択スイツチを含み前記収納装置の現在位置に関係なく所望通路を選択するための通路選択回路と、eこの通路選択回路からの信号により移行すべき前記収納装置及びその移行方向を選択してそれらの収納装置の前記モータを駆動し前記移動規制装置の作動により前記モータを停止せしめる移行収納装置選択駆動回路と、fを有する電動式移動保管装置(別紙図面(一)参照)

〔編註その二〕 本件に関する図面は左のとおりである。

別紙図面(一)

<省略>

<省略>

<省略>

別紙図面(二)

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!